手を伸ばせば、届く距離まで。



「トオノ、ごめん。後はお姉ちゃんがやっておくから」


「…うん」


そこで、トオノがハッと俺に気がついた。


暗かった顔を、パアァと輝かせる。


「けいだー!けい!ひさしー!」


かなり成長したトオノが、俺の腹に頭突きした。


「おご」変な声が出た。


「けい。ね、みみ」


みみ?耳を貸せってか…。



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