手を伸ばせば、届く距離まで。



俺はこんな性格のためか、人の心をさぐってしまう。


だから、おびえる。


だから、人を信じれない。


…逆に真樹は、俺と華織を疑っているのか?


「…真樹」


「俺。ちょっとトナリのクラス行ってくる」


―――ガタン。


俺の言葉をふさぎ、席を立つ真樹。


そのときの冷めた顔が、妙に脳に焼き付いた。



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