手を伸ばせば、届く距離まで。



小さい時。


また人をかばってケガだらけになった華織が、俺を訪ねてきた。


『だいきらいだって』


無表情で、笑顔の消えうせた華織はそう言い放つ。


俺も、その頃から無表情だった。


『どうして?カオリは助けたんでしょ?』


『ほうっておいて、って』


ソファに寝転がった、華織の瞳は赤くなっていた。


そりゃあ、泣くよな。


助けたのに、否定されたのだから。



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