そしていつかの記憶より
私が放心していると、後ろでささくんはお財布の中身を見ながらため息をついた。



「はぁ、金がぁ・・」




そんなささくんの横で、慰めようとしている木原くん。


「カモは大変だな。」
「誰がカモだっ!・・くそぅ、文人は要領よくていいよなぁ」
「んなことねーって」




二人は本当に仲良しだな・・・


私と陽子みたい・・・。






・・・あれ?






「・・・そういえば陽子は?」
「ようちゃんなら、弟さんが急に熱出したとかで早く帰ったわよ~・・・心配ね」
「えっ、そうなんですか・・・!」



弟・・・智也くんは私も彼が小さいころからよく知ってるのでちょっと心配だ。




「桜井の弟、具合わりぃの?」


木原くんが、会話に入る。



「うん・・・そうみたい。お見舞い行ってあげないと!」
「・・・悪い、俺は・・あ、ささ。暇なら行ってやれよ」
「えっ!?・・・俺?・・いや、でもそんな面識ないし・・」




ささくんをじっと見つめる。
ささくんが一緒に行ってくれたら・・・少し、嬉しいかもしれない。




「・・・あー・・・うん、暇だし行くかな」
「智也くん、喜ぶよ!」
「何か好きなもん買ってくか!」
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