生まれ変わってもキミが好き【完結】
勉強なんてただの口実だったけど。
またそれを口実にして、あたしはここを立ち去ることにした。
つらい。
いまは、『るいち』の傍にいるのが、すごくつらいんだよ。
「悪い悪い。そんな怒んなよ」
「……怒ってないよ。ただ、もう時間だし、行かなきゃ」
階段を上って、非常口のノブに手をかける。
そのままちょっと考えて、日下先生を見下ろした。
こわい。
聞くのはこわいけど。
それでも、聞かずにはいられないんだ。
「先生の彼女って……どんな人?」
あたしの質問に、日下先生はひょいと眉毛を上げて。
それから、どこか誇らしそうに笑った。
「腐ってた俺のケツをぶったたいてくれた、芯の強い、カッコイイ良い女だよ」
「……あっそ! ごちそーさまでした!」
冗談のように言って、非常口を開ける。
また勉強聞きに来いよって、背中に声がかかったけど、
返せる余裕は、あたしにはなかった。