生まれ変わってもキミが好き【完結】
「よく……覚えてるんだね。その幼なじみのこと」
「ん? まあ、そうだな。特別な奴だったからな」
特別って、どんな風に?
あなたは『柏木リン』を、どんな風に想ってたの?
なんて、ね。
そんなこと、聞いてどうするんだろ。
日下先生にはいま、恋人がいるのに。
先生の左手薬指には今日も、銀に光る指輪がある。
「……あれ? 日下先生、今日かっこいい時計してるね」
「ああ、これか?」
いつもしてる時計よりも、ゴツくてなんか高そうな時計が、シャツの袖から見えた。
かっこよくて、似合ってる。
そういえば、スーツもネクタイも、なんかいつもと違うかも。
全体的に、キメてる感じ。
「あ……」
理由が思い当たって、ちょっと、胸がキュッと、苦しくなった。
いやだな、なんで思い当たっちゃったんだろ。
オシャレする理由なんて、決まってるよね。
自分でもバカだって思うのに、変なところで冴えちゃうんだ。