生まれ変わってもキミが好き【完結】
「だ、だって、遅刻しちゃ悪いじゃん? そうだ、清春が悪いんだよ! いつもダラダラ歩くから、待ち合わせの時間に間に合わなくなっちゃうよっ」
凛、女優よ!
女優になるのよっ!
あたしはやましいことなんてなんにもありませーん!って顔で、清春を睨んだ。
頬をふくらませるあたしを、清春は数秒じーっと探るように見てきたけど、
小さく息を吐いて、目を伏せた。
「……ふーん。ま、いいけど」
「わかったなら手、放してよぉ」
「はいはい」
大きな手が腕から離れていき、ほっとする。
あたしの手を放して、清春はひらひら手を振って隣りの家に帰っていった。
わりとあっさりで、拍子抜けだよ。
あくび連発してたから、きっと部屋で昼寝でもするつもりなんだ。
はあ、なんかムダにどきどきしちゃった。
怪しまれてないかな?
ギリ大丈夫かな?
清春の存在を気にしてドキドキしながら、あたしは家に入って、準備を始めた。