生まれ変わってもキミが好き【完結】
辺りが薄暗くなった、午後6時。
あたしは再び、学校の前に立っていた。
道路を挟んで、反対側の歩道の、建物の影に隠れて、校門を見張ってる。
まるで探偵みたい。
しっかり変装もしてきたし。
お母さんの一張羅のワンピースとか、バッグとか、靴とか、アクセとか、
勝手に借りて身に付けて。
慣れない化粧も雑誌をお手本にがんばって、髪も苦手なコテを使ってゆるく巻いた。
いまのあたしは、どこからどう見ても、完璧な大人の女!
胸が足りないのは、お母さんのがっつりパットが入ったブラでごまかした。
ミュールのヒールが高くて、ちょっと足が痛いけど、我慢我慢。
イヤリングをぶらさげた耳たぶもちぎれそうだけど、我慢我慢。
だってあたしはこれから人生初の、居酒屋に乗り込むんだから!