生まれ変わってもキミが好き【完結】
軽くなった腕にほっとしながら、日下先生の顔を見上げた。
先生はおばさん店員の方を見ていて、こっちを向いてくれない。
たぶん、怒ってるんだ。
なら、どうして?
どうして助けてくれるの?
「あら、そうなんですか? でもこの子いままで1人で、ビールまで頼んでるんですよ?」
「待ち合わせをしていたんですが、気づかなかっただけですよ。ビールも、私の分を先に頼んでいようと思っただけでしょう。実際、口はつけていませんよね?」
「それは、でも……」
「大体、未成年に酒を出したとなれば、そちらとしてもマズいことになるのでは?」
「えっ! ああ、そ、そう、ですね! お酒は確かに飲んではいないようですしね。あたしのかん違いでしたね。ごめんなさいね、お嬢ちゃん」
「いえ……」
おばさん店員はまだ納得いってなかったみたいだけど、先生の強い口調と態度に負けたのか、
誤魔化すようにそう笑って、そそくさと去っていった。
あたしはうつむいて、自分と日下先生の靴を見つめる。
なんで、こうなっちゃうかな。
もうどうしたらいいのかわかんない。
頭が真っ白だよ。
何を言われるのか、こわくて、胃がキュッと縮まった。