生まれ変わってもキミが好き【完結】
そのまま十数秒経ってから、ため息が落ちてきた。
怒られる……!
そう身構えたけど、実際はぽんと頭に、大きな手が乗せられただけだった。
「聞きたいこと、言いたいことは山ほどある」
「……はい」
「でもとりあえず、ここを出るのが先だ。送るから、話しはその時にする。
タクシー拾ってくるから、大人しく待ってろ」
怒ってはいるんだろう。
声は低くて、有無を言わせない響きが、少しこわい。
だから逆らわずに、うなずいた。
日下先生はあたしの肩を押して、小上がりに向かう。
あたしはされるがまま、ただ下を向き続けた。
「すまん。今日はこれで帰る。悪いけど、こいつちょっと見ててくれるか? タクシー拾ってくるわ」
「ええ? い、いいけど。この子は?」
「頼んだ」
「ちょ、ちょっと日下くん!?」
先生は小走りで、店から出ていった。
しんと静まり返る小上がり席。
みんなの視線が自分に向いてることはわかったけど、あたしは顔を上げられない。