生まれ変わってもキミが好き【完結】
「怪しい。なんかおまえって、全体的に怪しいんだよな」
「あ、あたしは不審者か!」
なんて、ボケて誤魔化そうとしたんだけど、全然効果がなくて。
日下先生はぐいと顔を近づけて、あたしを間近で睨んだ。
「小鳥遊。おまえ、何か隠してるだろう」
それは、確信してるような響きのある声で。
思わず、あたしは後ずさる。
すぐに、廊下の壁に背中がぶつかって、自然と、日下先生に迫られているような体勢になった。
B級サスペンスでよく見る、岸壁に追い詰められた、殺人犯の気持ちってこういう感じかな。
話してしまいたい。
生まれ変わりであることも、自分の気持ちも全部。
そうすれば、楽になるのに。
そう思う自分がいたけれど、でも……。
本当に、そう?
話せば、楽になる?
まず、信じてもらえないよ。
それに、信じてもらえたとしても、
恋人がいる『るいち』は、困るだけじゃん。
なら……あたしの気持ちだけ隠して、話すのは?
『るいち』は、喜んでくれるだろうか……?