生まれ変わってもキミが好き【完結】
部屋がしんと静まり返って、時計の針の音だけが、大きく響く。
ギシリとベッドが軋んで揺れて、あたしはそろりと清春をうかがった。
と同時に、甘い、果物みたいな匂いがして。
「……清春。香水つけてる?」
「は?」
「なんか、美味しそうな匂いがする」
清春は制服の袖を鼻に近付けて、すんすんと犬みたいに嗅いだ。
そして首を傾げる。
「そう? わかんないけど、さっきまで遊んでた中で、誰か香水つけてて移ったのかも」
「遊んでたって、誰と?」
こんな甘い匂いの香水つけるのは、女子だよね。
でも清春が女子と遊ぶことなんて、まずない。
あたし以外の女子と、喋ることすら、ほとんどないんだから。
普通に答えてくれると思ったのに、清春は冷めたような目を、こっちに向けてきた。
「なんで凛に言わなきゃいけないの?」
「え……」
「俺が誰といようと、誰と遊ぼうと、凛には関係ないだろ」