生まれ変わってもキミが好き【完結】
言葉の矢傷が深すぎて、あまりの痛みに涙も出ない。
あたしが何も言えなくて固まっていたら、深田くんは困ったような顔をした。
「あー……ごめん。俺、女のコ慰めるの、下手くそなんだよ。
まったく、清春は何してんだ。こういうのはあいつの役目だろ」
「……清春も、下手くそだよ」
気のきいたセリフ1つ、言えないし。
そう返したら、深田くんはほっとしたように笑った。
「でも小鳥遊さんに対しては、あいつ全力出すだろ?」
「全力って? 清春はいつも、ぼーっとしてる無気力人間じゃん」
「まあ、基本はそうだけどさ。……あのさ、小鳥遊さんの好きな相手は、清春じゃないんだよね?」
深田くんは、前にも似たようなことを聞いてきた。
付き合ってるんじゃないんだよねって。
言葉にしたり、本人に伝えたことは1度もないけど、清春のことは好きだよ。
昔からずっと、大好き。
でもそれは……。
「清春のことは、幼なじみとして好きだよ」
「うん。そっか」
手のかかる、弟みたいな。
気の置けない、家族のような存在。
それが、あたしにとっての清春だと思う。
どんな風に表現しても変わらない、かけがえのない、大切な幼なじみなんだよ。