生まれ変わってもキミが好き【完結】
「ああ、もしかして、ちゅーされると思ってる? 大丈夫、しないよそんなこと」
「だ、だよね。するわけないよね」
ああ、よかった。
そんな心配、本気でしてたわけじゃないけどね?
モテモテの深田くんが、あたしみたいなのとキスしたいなんて、思うわけないし。
なんか……自分で言って凹みそうになるね。
「ま、小鳥遊さんを可愛いと思ってるのは本当だけど」
「……えええっ!?」
「ははは! だから、そんな警戒しなくても大丈夫だって。俺好きな人いるから」
あたし、からかわれてるんだろうか。
深田くんは涼しい顔でギターを抱え直して、軽く弦を弾きはじめた。
少し寂しい音色に、狭い部室が包まれる。
「俺の好きな人はさ……真面目で、ちょっと頑固で、がんばり屋で、人に甘えるのが得意じゃないんだ。
1人でなんでもやろうとするから、心配で、支えてあげたくなる」
「深田くん、好きな人いたんだ。だから告白されても、誰とも付き合わないんだね」
ユキとアリサからの情報によると、今年だけでもう、10人の女のコに告白されてるんだって。
すごいよね、10人て。
あたしなんて生まれてこのかた、1度も男子から告白されたことないのに。