生まれ変わってもキミが好き【完結】
「……同級生の辻と、こっちは俺の教え子だ」
「え? 教え子って、中学の?」
「悪い。こいつを送ってくるから、おまえは先に家に入っててくれないか」
「それはいいけど。……あとでちゃんと、話し聞かせなさいよ?」
あたしと芽衣子をちらっと見てから、皐月さんは日下の家の方に歩いていった。
理解があるんだ。
お互いが信用し合ってるのを見せつけられて、あたしの気分はもう地の底まで落ちた。
日下先生だけじゃなく、その恋人にも会っちゃうなんて。
全然心の準備なんかできてなかった。
『るいち』の恋人になんて、会いたくなかったのに。
「辻も、いいな。小鳥遊は俺が送っていく」
「いや、でも」
「反論は聞かない。今度会う時までに、言いわけを考えておけよ。……行くぞ、小鳥遊」
「ちょ、ちょっ! 待てって日下!」
芽衣子の制止を無視して、日下先生はあたしを強引に助手席に押しこむと、すぐに自分も運転席に座った。
あたしは抵抗する気にもなれなくて、されるがまま、バッグを抱えてうつむいていた。
「リン!!」
発車する直前に、芽衣子がそう叫んだけど。
先生はそれを振り切るように、勢いよく車を出した。