生まれ変わってもキミが好き【完結】
車の中ですぐに問い詰められると思ったのに。
日下先生はあたしから住所を聞き出したあと、黙りこんでしまった。
あたしから下手に話しかけて、墓穴掘るわけにもいかないから、
車の中はエンジン音と、聴いたことのない英語歌詞の曲だけが流れている。
しばらくそうしていて、不思議な気持ちになっていった。
あたしいま、『るいち』の運転する車に乗ってるんだ。
こんな日が、来るなんてね。
前世でも今世でも、想像してなかったよ。
日記に、今日のことを綴りたくなった。
『るいち』の運転する車の、助手席に乗ったんだって。
まあ、甘いムードなんてものは、これっぽっちもないんだけどさ。
ちらりと窓越しに映る、先生の横顔を盗み見る。
無表情に見えるけど、あたしは知ってる。
あれは、とても深く考え事をしてる時の顔だ。
あたしのことを、考えてるんだよね。
なんで芽衣子と一緒だったのか。
なんで柏木の家の前にいたのか。
日下先生はいま、どんな答えへと向かってるんだろう。