生まれ変わってもキミが好き【完結】
怒ったよね。
怒るに決まってる。
嫌いなわけないじゃん。
その逆だから、顔が見られないんだよ。
「……そうか。わかった」
日下先生は静かな声で言って、あたしの頭にぽんと手を乗せた。
そのままするりと、髪を撫でられる。
「今学期で、係は終わりにする。夏休み明けに、別の係を決めよう。それでいいか?」
「……いいんですか?」
「いいよ。元々無理やり任命した係だしな。寂しい気もするが……
おまえに敬語を使われるよりは、ずっとマシだ」
悲しげな呟きに、ぎくりとした。
先生は、気づいてたんだ。
あたしがいつからか、壁を作っていたことに。
どうして、何も言わないの?
あたしの知ってる『るいち』ならきっと、怒ってる。
「その鬱陶しい敬語やめろ」とか、偉そうに命令してるはずだよ。
なのに、どうして?
なんでそんなに、優しく笑ってるの?
「とりあえず、今日のところはプリント頼むよ。いいか?」
「……はい」
あたしがうなずくと、先生は手を離して、廊下を歩いていった。