生まれ変わってもキミが好き【完結】

なにを、怖がってるんだろう?

自分のせいで恋人が別れることに、罪悪感があるから?


でも、あたしは心のどこかで望んでいたはずだよね。


あたしは、『るいち』が好きなんだから。




「なーに辛気臭い顔してんだよ! 喜べって!」


「え……」


「やったな、リン! 2人を別れさせるチャンスだろ!
夏休み明けたらガンガン日下にアプローチかけて、奪っちまえっ」




奪う?

あたしが、あの綺麗な人から、『るいち』を?


あたしが『るいち』を好きでいることは、

そのまま2人を別れさせることに、繋がるの?



素直になればよかった。

好きって言えばよかった。


その前世での後悔を、忘れたわけじゃないよ。

生まれ変わって、前世の記憶が蘇ったのは、後悔を消しさるチャンスを、神さまがくれたんだって、思ったりもする。



でもいまあたしが『るいち』に好きって伝えたら、

本当に、あの後悔は消えさるのかな……?




迷いに心も体も支配されて、固まっていたら。

不意に肩をつかまれた。




「清春……!?」



驚いて後ろを見たら、いつからいたのか、清春が立っていて。


厳しい顔をして、あたしを見下ろしていた。

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