生まれ変わってもキミが好き【完結】
「言えないの?」
「い、言えるけど! なんでそんなこと清春に言わなきゃなんないのっ」
「言えるなら言ってみなよ。いつ好きになったの? いつ恋に落ちた?」
「あたしは……」
思い出す。
出逢ったのは、始業式。
ステージ上の日下先生を見て、記憶の流星が落ちて来て。
記憶が戻って、混乱して、拒絶しようとしたけど。
話してみて、日下先生があの『るいち』だって認めて、前世の自分を受け入れて……。
その時、好きになった?
それじゃあ、何かが違う。
だって『るいち』を好きって気持ちは、もっと前からあったんだから。
「ほら、言えない。わからないだろ?」
「わからないんじゃないもん! ちょっといま考えてるだけで……」
「考えなきゃわからないなんておかしいよ。たぶんいくら考えたってわからないはずだ」
「なんでそんなこと、清春にわかるのさ!」
「わかるよ。だって日下先生を好きになったのは、凛じゃない。『柏木リン』なんだから」
「ちがう!」
ちがうよ、清春。そうじゃない。
そうじゃなくて。
あたしと前世のあたしは、別じゃないんだよ。
同じなの。
同じ人間だから、あたしも日下先生のことを……。