生まれ変わってもキミが好き【完結】
「ちが、う……っ」
「ちがわない。じゃあ、前世の記憶がなかったら?」
「そんなの考えたって意味ないじゃん! もう記憶はあたしの中にあるんだもん!」
「逃げるなよ! 前世の記憶がなかったら、どうだった? 記憶がなくても、凛は日下先生を好きになった? なってないだろ!」
清春に怒鳴られるなんて、初めてで。
怖くて。
それ以上に聞きたくなくて、あたしは自分の耳をふさいだ。
「もうやだ!」
「凛!」
強引に耳を抑えていた手を下げさせられた。
逃げ出したくなって、清春の手を振り払ったけど。
すぐに腕をつかまれて、すごい力で引き寄せられて……。
「や……んっ」
気づいたら、唇が。
清春の薄い唇が、あたしの唇に、ぶつかるように重なっていて。
あたしよりきめ細かい肌が、目の前にあって。
腹立つくらい長いまつ毛が、震えていて……。
銀色の細い髪が、さらりと揺れて、離れていった。
「……いまを見ろよ。凛の幼なじみは、俺じゃないのかよ」