生まれ変わってもキミが好き【完結】
こっちには気づいてないみたい。
廊下の窓から、無表情で外を見てる。
何見てるんだろう?
あたしも外を見てみたけど、別に変わったことは何もなくて。
ただ、晴れた空と緑の木があるだけ。
だからたぶん、深く何かを考えてるんだろうな。
関わらないで、教室に戻ろう。
そう思ったのに、気づけば足が、反対側に向かっていた。
「……日下先生」
近づいてもこっちに気がつかないから、声をかけてみた。
そしたらこっちがびっくりするくらい、驚いた顔で先生があたしを見た。
「小鳥遊。……どうかしたか?」
優しく、先生は笑った。
夏休みが明けても、先生は変わったまま。
授業があってもあまり声をかけてこなくなったし、教科係も別の人になった。
テスト返却の時だって、ちょっと呆れた顔をしただけ。
不思議でたまらないよ。
あたしのことは……
『柏木リン』のことは、もういいの?