生まれ変わってもキミが好き【完結】
「……寝ぐせついてるよ」
「あ? 寝ぐせ? どこ」
「嘘」
「……嘘かよ」
仕方ない奴だなって感じで笑う日下先生。
先生の長い指が、あたしのおでこを軽く弾いた。
「テスト、今回は赤点だったな」
「うん。前回が奇跡みたいなものだったしね」
「おいおい、しっかりしろよ。受験までには数学の部分、もっと力入れてやんねーと、ネックになるぞ」
「受験? あたしまだ、2年だよ」
「まだ、じゃねーよ。あっという間にその時は来るんだ。早めに準備しておくに、越したことはない」
なんだか教師らしいことを、偉そうに言う先生。
2年になって会ったばかりの頃に、戻ったみたい。
「……小鳥遊。敬語、なくなったな」
「え。あ……」
「そのままでいてくれよ。調子狂うから」
どこか嬉しそうに言う日下先生に、あたしは嫌って言う気にはなれなくて。
黙って、うなずいておいた。
「先生……変わったね」