生まれ変わってもキミが好き【完結】
+.* 残夢の弔い*.+
日下先生はすぐに見つかった。
職員室にも隣りの印刷室にもいなかったから、非常階段をのぞいてみれば。
階段の下の方で、暮れてきた空を見上げて、煙草の煙を吐いている彼がいた。
今日の休憩時間にも見た、無表情。
『るいち』が深く考え事をしている時の顔。
声をかけにくくて、ぼんやりと先生の横顔を見下ろしていたら、
ふとその整った顔がこっちを見た。
日下先生は一瞬驚いたような顔をしたあと、
ゆっくりと、穏やかに微笑んだ。
「どうした、小鳥遊。まだ帰ってなかったのか」
携帯灰皿で煙草を消す先生に、あたしはうなずきながら階段を降りる。
1段1段、数えるように。
「日下先生は、なにしてたの?」
「俺か? そんなもん、仕事に決まってるだろ?」
「そうは見えないけど……」
「休憩時間も仕事のうちってことだ。で?勉強でも聞きにきたのか?」
「ううん。……先生を、呼びに来たの」