生まれ変わってもキミが好き【完結】
「日下先生の嘘つき!」
「……なに?」
「何が“人を大切にしろ”さ! 偉そうに言っちゃって!
自分なんていちばん傍にいる恋人すら、大切にできてないじゃん!」
あたしの言葉に、先生はぐっと押し黙った。
家族を、友人を、目の前にいる人を大切に。
たくさんの生徒にそう語りかけてきたのは、どこの誰?
「……誰を大切にするかは、俺が決める」
「なにそれ! 逃げる気!?」
「黙れ! おまえには関係ない! 子どものくせに生意気言うな!」
そう怒鳴りつけてきた日下先生の左頬を、
あたしは思いきり、平手打ちした。
小気味良い音が、狭い非常階段に響いて。
あたしの右手が、じんと痺れる。
関係ないなんて、言わないで。
子どものくせになんて、言わないでよ。
「その左手の指輪も外せないくせに! 教師だからって偉そうに言わないで……っ!」