生まれ変わってもキミが好き【完結】
帰りの車の中は、とても静かだった。
お互い黙って、ガラスの向こう側を見つめて。
もう手と手が繋がることは、2度となかった。
家から少し離れた、街灯の下に停まった車。
外へ出ると、日下先生も出てきて、あたしをじっと見つめてくる。
「先生。今日はごちそうさまでした。お料理すっごく美味しかった!」
「ああ」
「ドライブも、水族館も楽しくて。夜景もめちゃくちゃ綺麗でさ。
……良い思い出になったよ。ありがとう」
「……ああ」
明日、がんばってね。
皐月さんに、よろしくね。
彼女と仲良くね。
そんな言葉たちが喉から出かけたけど、やめておいた。
いらないと、思うから。
「じゃあね、日下先生。おやすみなさい」
「ああ。……おやすみ」
呟くように答えてくれた先生に笑って、背を向けて歩き出す。