生まれ変わってもキミが好き【完結】
「でも日下先生に全部話せば、きっと前世で、凛が望んだ関係になれたんじゃないの。
話さなかったんだろ?」
「うん。そう、かもしれない。でも、それはたぶん、前を向いて生きていくことにはならないんだよ。
先生にとっても……あたしにとっても」
あたしはもう、日下先生の知ってる『リン』じゃない。
あたしは凛として生まれ、凛として育ち、色んな人と出会って、色んなことを経験して、色んなことを感じてきた。
前世と同じじゃ、もうないんだ。
日下先生だってそう。
あたしの知ってる『るいち』じゃない。
あれから先生も、色んな人と出会って、色んなことを経験して、色んなことを感じてきた。
バカみたいに純粋だったあの日、あの場所に戻ることは、絶対にできないの。
だって人は生きてる限り、前にしか進めないんだから。
「あたしと『るいち』は、あの日にお別れするのが、決まってた。生まれ変わったって、それは変わらない。
あたしたちはお互い、そこから別々の道を歩いてきたんだよ」
その道の途中で学んだのは、素直になることだけじゃない。
かっこなんてつけずに、目の前の人を全力で大切にすること。
いつでも、どんな時でも、毎日でも。
あたしたちの明日が、変わらず続いて行く保証なんて、ないんだから。