生まれ変わってもキミが好き【完結】
いまあたしの中を、洪水みたいに暴れ乱している
『柏木リン』の、前世の記憶らしきもの。
その記憶の中で、あたしの大切な存在だった、
幼なじみと、よく似た人。
「ど……どうした? どこか痛いのか?」
その人は、慌てたように、傍に来る。
記憶の中の声よりも、ずっと低い。
痛い? あたしが?
「痛く、ない……」
「じゃあなんで泣いてるんだ?」
戸惑うように、指がそっと、あたしの頬に触れてきた。
大きな手。
大人の、男の人の手だ。
記憶の中の彼の手よりも、ずっと大きい。
「君の名前は、小鳥遊……で合ってるか?」
「……リンです」
「え?」
アーモンド型の瞳が、あたしを見て、微かに揺れる。
ぼんやりとそれを見つめ返しながら、答えた。
「凛です」
「り、ん……?」
「……小鳥遊、凛」