生まれ変わってもキミが好き【完結】
新任教師のニュースが教室に流れたのは、
最後の授業前の、休憩時間だった。
クラスに飛び込んできた女子が、顔を真っ赤にさせて叫んだ。
「ちょっといま隣りのクラスのコから聞いたんだけどさ! 日下先生、恋人いるんだって~!」
一瞬教室が静まりかえったあと、
周りにいた女子たちが一斉に立ち上がる。
「ええええっ!? うそっ!!」
「うわ~、やっぱいるんだぁ」
「だよねー。あんなイケメンに、彼女がいないわけないもんねぇ」
クラスの女子は、その話題で持ちきりになった。
男子が耳をふさぐくらいの騒ぎに。
でも、
あたしの耳にはその喧騒は、どこか遠くのものに聞こえていた。
ユキちゃんとアリサのところに行こうとしてたのに、席から立ち上がれない。
驚きとか、そんなものじゃ済まない。
本当に、心臓が一瞬止まったように感じた。
体温が急激に下がっていく。
凍ってしまいそうなほど。
全身の感覚が、鈍くなっていく。
目の前の物から、色がゆっくり、消えていく。