哀。愛

電話

「ただいまぁ。」

って言っても、お母さんもお父さんも仕事だから、まだ帰ってきていない。

でも、私の為に働いてくれているから文句なんてない。むしろ感謝しかない。




しばらくすると、携帯が鳴った。ディスプレイには『達也』と表示されていた。


とたんに、夢から覚め、一気に現実に引き戻された。


もしかして、仲田くんと一緒に帰った事わかっちゃったのかな。

出たくはない。でも、出ないと家まで押し掛けてくるかもしれない。


私は恐怖におびえながらも電話に出た。


「もしもし?」

「あ、優?お前今何してた?」


いつもと同じだ。仲田くんと一緒に帰ったことは知っていないようだった。


「今?ちょうど家に帰ってきたところ。」

「ふーん。誰と?」

「えっ!一人だけど?」

「そっ。他の男と帰ってたらどうしようかと思った。」


もしかして知ってる!?そんなことないよね。

「大丈夫。好きなのは達也だけだから。」




また自分にウソついた。

こんなこと言うのもうウンザリ。


「俺も、優のこと好きだから。」




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