寄り道アバンチュール
道くさ 1
レースのカーテンが朝の光を柔らかく抑えている。
そっと掛け布団を持ち上げると私は確認するようにその中を覗き込んだ。
「…なるほどなるほど」
いや、正直分かってはいた。
身体に触れるのは下着ではなくベッドの真っ白なシーツ。
一人で寝るにしては絶対起こらない下半身の違和感、もとい余韻。
割かし冷静な脳で「どうやらやらかしたらしい」と他人事のように状況を把握する。
なんともレディコミの王道のような展開であるらしく、私の左隣りには当然のように背を向けて寝息を立てる男。
背後から見えるうなじと肩から思うになかなか色気のありそうな男前ではあるけれど。
自分の上に被さるシーツをもう一度、相手が起きないようにゆっくり持ち上げるとチラリと見えた男の背中を見定めた。
「…ほう、良い引き締まり方ですこと」
皮肉を交えた独り言の後小さく溜め息をついて、さてどうしようかと思い悩む。
無論面倒事を避けたいのなら、男が寝息を立てているこの今早急にここを後にするべきだ。
…というかあれ?そもそも昨日の夜私どこで何してたんだっけ?
お酒に呑まれるほどの失態はおかしていない…はず。
もんもんと一人考え込んでも記憶は呼び起こされないどころか時間が過ぎていく一方なので、一つ、ここは一番前向きな思考で状況を捉えることにした。