寄り道アバンチュール

「先輩、あの、どうしたいんですか」


若干のカタコトになる私を笑う先輩の息が肌をかすめて。


「付き合いたいかな、滝沢と」


「…はぁ…」


「でもその前に依存されたいかな、滝沢に」


「……」


宮本先輩は私を一向に離す気がないようで、このままだとあまり宜しくない気がした私は彼の腕を掴んで離すよう力を入れた。


案外簡単に腕を解いてくれた先輩は「腹は?」となんでもないように聞いて台所の方へ行ってしまうから、この隙に逃げてやろうかと真剣に思った、


「…減ってないです」


けどやめた。

どうせまた飲み会かサークルの活動で会うことになる人なんだから、今ここである程度の出口を見つけておかないと後々面倒臭そう。


「そうか?っていうか減ってても冷蔵庫ん中なんもねーわすまん」


「先輩、今日授業ないんですか」


「8時半から講義」


「先輩今7時50分です」


「知ってる」


先輩、私は今すぐ帰宅して昨夜の出来事をなかったことにしたいです。


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