恋しても、愛しても、夢は見ないから
キッチンに立った聖は手慣れた手つきであっという間にオムライスを作ってくれた。


聖が私に作ってくれるのは
いつもハンバーグやオムライスやスパゲッティといったお子様ランチのようなメニューだった。


それが一層私を子供のようにし
一時の甘く優しい夢見心地な世界へと浸らせてくれた。



目の前に置かれたふわふわの卵から、甘いいいにおいがしていた。


卵はふわふわ目で砂糖を少し。


私の大好きな味。




聖はいつも絶妙なタイミングで
私の望むものを手のひらにのせて与えてくれる。



私の全てを見透かすように


食べ物も、愛情も


私の構成する全ては


聖によって創られている。


そんな感覚さえしていた。





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