恋しても、愛しても、夢は見ないから
歯を磨いて戻ると、
聖は食器を洗い終えて
TVの前のソファーでコーヒーを飲んでいた。


私は聖の横にちょこんと座り、
少しだけ聖に体重をあずけた。


らくちん。


まるで心まで寄りかかって
のし掛かる重みを支えてもらってるみたいだった。


聖は何も言わず
コーヒーを飲み続けてる。



聖のそばにいると
余計なことは考えず自由でいられた。


それはまるで赤ちゃんが母親に
身を委ねてるような関係に似ていて

どんな身勝手でいても、
その全てを聖は許して受け入れてくれる。


そして私はその対価のように
聖の求めることは全てを受け入れていた。



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