恋しても、愛しても、夢は見ないから



コト…


飲みかけのマグカップが
テーブルに置かれた瞬間に音をたてた。


聖はゆっくり立ち上がり
私をご飯に誘ったときと
同じ温度の声で私に向かって言った。


『唯、おいで』


まるでこれから
ご飯の続きをするかのように

優しい笑顔で私の手を引いて
一緒にリビングを出た。



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