恋しても、愛しても、夢は見ないから

『…っ、!』


聖は私が話しているあいだに
いつものようにあっというまに
ニットベストとシャツのボタンをはずしていた。


前がはだけて下着が露になった瞬間、

ついさっきまで洗物をしてたからか、

少し冷たい手が私の肌に直接触れ、
思わず身体がビクリとした。




聖はそんなコトにはかまわず

淡々と私の腰に回した手を
自分の方に少し引き寄せて、

器用にもう一方の手で
ブラのフロントホックを外した。



はらり、と胸がさらけだされ
ひんやりとした外気にさらされた。





『じゃあ、映画が終わって
真っ直ぐ帰ってきたの?』



『…うん』




幸先輩のこと…
一瞬浮かんで言葉にするのをやめた。


たいしたことではないし、
一瞬の気の迷いのような口づけ。


そんなことより、今は、

この手の温もりに集中していたかった…




私だけを優しく包み
愛情に満たされていく幸せな感覚を…




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