恋しても、愛しても、夢は見ないから

『おいで…』


聖は私を愛しそうな眼差しでみて
ベッドの上に誘導する。


その眼差しにほっとして
ベッドの上に上がり込む。


優しく聖が口づける。
身体の至るとこを余すことなく。

じっくりと、確かめるように…


突起する部分が愛撫され過ぎて
熱をもって腫れ上がる。


そうなる頃には、下腹部の
じんじんと鈍い傷みが限界まで達していた。


知り尽くされた身体は
きっともう聖の一部になっている。


聖の手や唇が、
私のイイトコロばかりを刺激する。


心と身体がふにゃふにゃに
とろけていくようだった。





『ふっ…、
気持ちいい?唯…』



意地悪そうに笑う聖に
恥ずかしさが込み上げる。


顔が熱くなり、
じわっと目が潤むのを感じる。


形のいいしなやかな指が
私の唇を軽く触れる。


どんなに恥ずかしくても
思ったことは全て言葉にしなければいけない。


聖と私の暗黙のルール。




『うん。…気持ち、いい』




『…唯ははしたないコだね』




聖の言葉に一気に顔が赤くなる。


そして聖はそれをみて満足そうに笑う。



もっと気持ちよくなりたい…
早くひとつになりたかった。




あの暖かいぬくもりと

聖と繋がっている安心感と

ずるずると捩じ込まれるように

身体を侵食される高揚感…

一人じゃないと感じる瞬間。




今日は一段と感じたかった。




幸先輩の寂しげな表情を
見てしまったからだろうか…?



寂しさや悲しさは
人に伝染する気がする…




聖が与えてくれる温かい感情だけが
唯一私を満たしてくれる。




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