恋しても、愛しても、夢は見ないから
公園に入り噴水の方に向かうと
そこに広がる景色は

月明かりがないせいか、
あの日よりもずっと薄暗かった。


綺麗と言うよりかは、
静寂な闇という怖さの方が
ずっと強く感じられた。



誰もいない噴水に舞い降りる雪は、寂しさが積もっているようだった。



噴水の縁に座り、タバコを取り出す。


…この雪じゃ、家路を急ぎたいよなぁ。


公園の外の道を歩く人達は
脇目をふらずに黙々と歩いていた。


そんな光景をタバコを吸いながら
ただ眺めていた。


……。


ガサガサ


『……?』


噴水のそばの茂みが急に騒がしく音をたてたと思ったら、
そこから勢いよく女の子が飛び出してきた。





『……っ!?』





…彼女だった。






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