恋しても、愛しても、夢は見ないから
クリスマスの夜は苦手だった。

小さい頃はまだ、両親たちは親の義務と思ってか、
なかなか寄り付かない自宅に帰ってきていた。

テーブルに並べられた出来合いの食事が
冷めていくのと、並べられた2つのプレゼントを、

どこかTVを観るような気持ちで眺めるようになっていた。

両親たちのそれぞれが携帯で話す
仕事のはなしが毎年のBGMだった。


食事にもプレゼントにも
私の欲しいものは一切反映されてなかった。


そもそも、欲しいものなんて解らなかった。


だって、
そんなこと教えてくれる人なんて

いなかったから。
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