ホストーカー 【完】
「おっと…。」
勢い良く、突撃しすぎた私が転びそうになるとコウさんが優しく支えてくれた。
「…なんか、顔赤いよ?」
「あっ…えっと…今、走ってきた所なんで…!」
「ふっ…、そっか。まあ、乗ってよ。」
コウさんにエスコートされて、助手席に座った。
車内はとても静かだった。
何時もなら、どうでもいい事を延々と私が喋り続けるのに。
やっぱり、好きって自覚しているのとしていないのでは、全然違う。
一生懸命、話題を考えて考えて
私は一番重要な事を聞き忘れている事に気付いた。
「…どこに、いくんですかね…?」
「…秘密。」
そしてまた、沈黙が訪れた。