ホストーカー 【完】
●ホストーカー○
SIDE美麗 『ホストーカー』
麗羅は、目をそらしてただ、連れて行かれる私を見守るだけだった。
何が「幸せになれ」よ?
この前まで私を閉じ込めて
毎日可愛いって言ってキスをして居たのは誰?
他の男を見るなってしつこく束縛して来るのは誰?
本当に、勝手、本当に。
勝手に涙が出た。
「バカ麗羅…。」
久しぶりの外の光が眩しく、目を細める。
まるで、物の様に黒塗りの高級車に投げ出される。
車が向かったのは無駄に広い何年ぶりかの実家だった。
「明日、見合いに参加しろ。」
家に着くとそれだけ言ってまた外に出た。
久しぶりに会いに来たかと思えば、結局私はただの道具扱い。
悔しくて、悔しくて、何度目かもうわからない涙が出た。
「麗羅…、助けに来てよ…」
小さく小さく、呟く声はあいつに一生届くはずが無いんだ。