君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
「何か、情けない。

 言い返す元気もない

 否定する気力もない。

 事実、私は二人に甘えてるからなあ。」


いつも菜々美はあまり自分のことを話さなかった。

くだらない会話で笑うけど、時々フッと笑顔が消える。

郁人が、菜々美は心のリハビリ中と言っていたが、

本当にバンビからペルシャネコに戻れるのか?


「菜々美は嫌なのか、俺たちと居るのは。」


「嫌なわけないよ。郁人と春日は今の私の命綱だもの。」



「ねえ、春日、私は弱い人間じゃないの。

 でもね、今は嫌になっちゃうくらい弱い人間。

 変よね、変でしょ。」


「いや、何も変じゃない。


 誰だって弱い部分がある。今まで菜々美が持っていなかったなら、

 成長したんじゃないか。人としてさ。」


「春日、、、、あなた、まともなことが言えるのね?」


「おまえなあ、そこ感動するところだぞ。」


二人は大笑いした。

郁人、菜々美は大丈夫だ、

自分をちゃんと分かってる。
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