君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
「万里?」

万里の瞳が盛り上がり、水滴がきらきらと

零れ落ちた。

それが涙と気づかないほど、

綺麗でおれは、視線を外せなくなった。

「先生ハンカチとか持ってる?」

万里の涙声で、ハッとして

ここに来るときにもらったティッシュを渡す。

「ありがと。」

万里は涙を拭ったあと、

「すっきりした。」

といい、机に向かった。


万里の背中を抱きしめたい衝動にかられ、

自分の中で何かが変わっていく感覚に

驚いた、と同時に呆れていた。

子ども相手に何やってんだ。

気持ちのない告白に意味などないのに


万里は1時間ほど何もなかったように勉強をして。


「明日から、学校に行くよ。」


といった。


その笑顔に締め付けられた胸の痛みは、

同情なのか、それとも、

さっきの万里の瞳が頭の中でフラッシュバックしていた。
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