君の瞳に魅せられて ***春日の恋***

綻びの始まり


「春日、私を守るなんてしなくていいから。」

菜々美を守ろうと決めた次の日、

はっきりした口調で伝えてきた。


「私は、人に頼りながら生きるのを辞めたの。

 郁人が遠くに行ってても、

 春日が近くに居ても
 
 私は私の考えで動くから。

 だから、守ってくれなくっていいよ。

 郁人が頼んだことは忘れて。

 それから、私は絶対揺れたりしないから。

 だから、待たないで欲しい。」


「それって、俺に来ないってこと?」


「うん。」


「絶対に?」


「うん、絶対に。」


「俺の気持ち知っててそう言ってるんだよな。」


「そう、謝らないよ。初めから分かってたでしょ。」


完敗だなと思った。


分かっていたし、


時間を引き延ばそうとする事さえ許さない菜々美


俺はもう菜々美を心に置いてはいけないと覚悟した。


< 65 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop