君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
綻びの始まり
「春日、私を守るなんてしなくていいから。」
菜々美を守ろうと決めた次の日、
はっきりした口調で伝えてきた。
「私は、人に頼りながら生きるのを辞めたの。
郁人が遠くに行ってても、
春日が近くに居ても
私は私の考えで動くから。
だから、守ってくれなくっていいよ。
郁人が頼んだことは忘れて。
それから、私は絶対揺れたりしないから。
だから、待たないで欲しい。」
「それって、俺に来ないってこと?」
「うん。」
「絶対に?」
「うん、絶対に。」
「俺の気持ち知っててそう言ってるんだよな。」
「そう、謝らないよ。初めから分かってたでしょ。」
完敗だなと思った。
分かっていたし、
時間を引き延ばそうとする事さえ許さない菜々美
俺はもう菜々美を心に置いてはいけないと覚悟した。