君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
何も言えないで

数日が過ぎた。

確実な情報がない。

郁人にも連絡が取れない。

郁人、お前はどうして欲しいんだ

まさかこのために俺に託していったわけじゃないだろうな。

ブツブツいいながら歩いているフロアの

俺の部屋の前に女が待っていた。

「研究部長室」今日から正式に俺の部屋となった。


「綾波君、話があるの。」


「萌香またお前か。俺にはないけど。」


「好きなのよ、私はまだあなたのこと忘れてないの。」


「俺は忘れた。お前俺が昇進して惜しくなっただけだろ。」


「ひどい。そんなんじゃない。

 あの時あなたは私を見てなかったじゃない。

 私だって傷ついたのよ

 後悔してるわ、

 あなたの心が知りたくて結城君を呼び出させたりした。

 知ってたわ。

 あなたの心にはずっと佐伯さんがいた。

 でも彼女は、結城君と婚約したんだもの。

 もういいでしょ、あたしの所に戻ってきてよ。」






< 70 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop