君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
「春日さんっ春日さん!今日お誕生日なんですって、

 もしよかったら、プレゼント貰ってください。」


「あ、ありがとう。」


「気に入ってくれたら使ってください。」

きゃ-

走り去る女の子たち。

自分の名前とか、言ってけよな、付き合いたいとかそういうんじゃないのか。

あの子は俺が好きなのか?つらいよな片思いって。

人ごとのように同情する俺。前だったら受け取りすらしなかった。

面倒はごめんだったし、いらないものが増えるのは鬱陶しかった。

でも、恋を知ってしまった俺は、対処に戸惑う。

心がこもってると思うと捨てられない。

「人気者ですね春日さん。」

笑顔で、佐伯菜々美が立っていた。

!!!

驚いた俺は、さっき貰ったプレゼントを落とした。~バサッ!!


菜々美は黙って拾い集め、「ハイ。」と渡しながら。

「春日さんお誕生日だそうですね。今日一緒に夕食いかがですか?」

「菜々美ちゃんと2人で?」まさかのサプライズ!!!!

「あ、いいえ、郁人と3人ですが。」

そうですよね~でも嬉しいには違いない。

好きな子に祝ってもらえる誕生日。

「もちろん!喜んで。」

「あのさ菜々美ちゃん、同じ年なんだから敬語使わなくていいよ。

名前も、春日って呼んで。俺も菜々美って呼んでいい?」

「郁人がいいって言えばそうします。」

菜々美はにっこり笑った。

菜々美ってなんて健気なんだ~

俺は玉砕した






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