君の瞳に魅せられて ***春日の恋***
1週間後、郁人と菜々美の婚約式だ。

婚約式なんてTVだけの話だと思ったけど、

やる人間がいるとは、、、しかも身近に


いわゆる立食パ-ティだ、

「この間は、お騒がせしました。」


「永澤さん、体調は大丈夫。」


「はい、会社は今日付けで辞めてしばらく実家で過して、

 子どもが生まれたらアメリカに行く予定です。」


「そう、元気でね。」


「菜々美には悪いことしちゃった。」


「まあ、幸せそうだからいいんじゃない。」


「綾波部長、あなたはいいんですか?」


「まあ、とっくに振られてるし。

 今回の事で気がついたことがあって、

 俺は、郁人を好きな菜々美が好きなんだって事。

 こんなこと君にいうことじゃないよね。」


「マゾですね。」


「ある意味そうかもなあ。」

永澤は笑顔を残して去った。

こんな風に自分の気持ちを吐露するのは初めてだ。

多分あの時、近い想いを感じていたからだろう。

あきらめにも似た、二人の幸せを祈る気持ちだ。












< 84 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop