この恋が叶わなくても

恋なんて、もう



咲希に大翔のことを相談してから1週間が経とうとしていた。

“大翔のことはもう諦めついたから、大丈夫だよ”なんて咲希に言ったけれど。

たしかに咲希に言ったことは紛れもない事実だけど、こころの奥にはまだ未練のようなものが残っているような気もした。



こころの奥にある“未練”を認めたくなくて、だけど認めている自分もあって……

そんな悪循環が、あたしを悩ませる原因となっている。


最近はそんな悪循環から一時的に抜け出す、俗に言う現実逃避が目的でよく授業をサボるようになった。





席を立ち教室を出ようとした。


「美春っ」

立ち止まり、声のする方へ振り向いた。咲希だった。

「またサボり?」

心配そうにあたしを見つめる咲希の瞳を見ると、無性にこころが痛んだ。



咲希には本当のこと、言いたい。



けれど、

『うん、最近体調悪くて』

口から出たのは嘘を並べただけの言葉だった。



「そっか…お大事にね」

悲しそうな咲希の瞳。

『うん』


あたしは頷いてこころの中で“ごめんね”と呟いた。


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