黒白彼氏
「キャッ…おろしてっ…シクッ…してくださいっ!…」
「…いいから…どっち?」
「おろしてっ…」
…体が震える。
再び、でも一瞬だけフラッシュバックした。
「…ったく…その力入んない足じゃ、歩けねーだろ。」
………そうだけど…。
…でも道分かんないから…怖いけど…少し甘えよう…。
「…道…わかんない…。」
「はあっ!?迷子かよ…。…住所は?」
「わかんない…シクッ…けど、駅の前の大きなマンション。」
「…引っ越してきたばっかなのかよ…
…わかったから、もう泣くな。」
そう言って彼は歩き出した。