inexpert―子供彼氏―
学校につくなり、陽太とゆいに遭遇してしまった。
なんてついてないの…私。
あからさまに溜め息をつくと、陽太がゆいに何か言ってゆいはどこかへ行った。
そして、何故か陽太が私の目の前にいる。
「桃嘉っ…その、昨日の事なんだけどさ…。」
「…なに?」
「その…えっと……」
陽太は、昔からこうだった。
自分が伝えたい事が
上手く言葉にできなくて
伝えられなくなって
そんな自分がもどかしくて
泣いてしまう。
あぁー……
陽太ってば、目に涙溜めてるし。
陽太が言いたいことは、何となくわかる。
ただ…聞きたくない。
「用がないなら、もう行く。」
「えっ…待って…、待って…、桃嘉ぁっ…!」
陽太に背を向けて廊下を歩く。
後ろから聞こえる陽太の声が、切なくて胸が苦しくなった。
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