spiral

遠くから聞こえてくる
女の人の声



「あ、かあさんだ!!」



春は後ろに視線をやった




「おれいかなくちゃ!…またな、にいちゃん!」



「あぁ…またな。」



「今の事、男同士の秘密だぜ?」と春に耳打ちすると、嬉しそうに笑って



すぐに走っていった




「もう、どこ行ってたの?敦君から魔物が現れたって聞いて心配してたんだよ?」



「だいじょうぶ!おれ、ぜったいかあさんたちをまもるから!!」



「いきなりどうしたの?」と首を傾げて
女の人と春は手を繋いで歩き出した





「…二宮春、か…。」




そんな後ろ姿を見ながら



「アイツに会ったのは…偶然じゃなかったかもしれねぇな。」




瞬間、目の前が真っ白になった





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